お嬢様の為に鐘は鳴る 2007/12/07 発売Top【トップ】Story【ストーリー】Character【キャラクター】Download【ダウンロード】Sample【サンプル】Special【スペシャル】
 
777777HIT Special Side Story「First Present」
 

※CATION※
 
以下のサイドストーリーは、
『お嬢様の為に鐘は鳴る』本編、
疾瀬 凛ルートのネタバレを含んではおります。
未攻略の方はくれぐれもご注意ください。

 
――もう朝か。
まず先に意識だけが覚めたものの、目は閉じたままだ。
目を開けたくない理由は、睡魔よりも気だるさが先行した。
どうせ今日は休みなんだし。
昨日のパーティやらダンスの練習のおかげで、疲れが残ってるんだ……もう少し眠らせてもら――
いや、ちょっと待て。
二の腕に体温と重量を感じた俺は、ようやく目を開いた。
眼前では俺の彼女――疾瀬凛が、俺の腕を枕にして、小さな寝息を立てていた。
 
「そっか……」
 
昨日のパーティの最中に衝撃の事実が発覚して、俺は改めて、凛と愛を確かめ合い……
そして、今に至っている。
昨晩の彼女の『夜の姿』を思い返す。
思い返すだけで、下半身のアレな部分がアレするほど、その光景は朧げでありつつも、
甘美だった。
そんなことを思いながら、いつもだったら決して拝めない、彼女の寝顔をしばらく見つめてしまう。
じー。
 
「……かわいいなぁ」
 
シンプルに思う。
出会った当初から、彼女のこんなあどけない寝顔を見ていれば、彼女が女であることぐらい、
すぐに見抜けたに違いない。
だからこそ、凛も俺との間にカーテンで仕切りを作り、頑なに隠していたんだろう。
一体、どれだけの時間、凛に腕枕をしているのかわからないが、痺れを感じ、ちょっとだけ動かした。
 
「あぅん……」
 
 その直後、彼女の口から、悩ましい吐息が漏れ、
 
「……あ……」
 
それと同時、パチッと目を覚ました。
目覚めた彼女と俺の視線が交差する。
 
「おはよう、凛」
 
「おはよ、一也……もう起きてたんだ」
 
お目覚めの挨拶を交わしあう。
目を覚ました彼女は、『執事の疾瀬』ではなく、『メイドの凛』だった。
長々と彼女の寝顔を拝んでいたい、という俺のささやかな願いは、わずか数十秒しか
叶わなかったようだ。
 
「起こしてくれても良かったのに……退屈だったでしょ」
 
「いや。凛の寝顔がかわいかったから、全然退屈しなかった」
 
「……バカ」
 
彼女ははにかみ、その照れた顔を隠すように俺の胸元に頭を寄せた。
 
「いや。凛の寝顔がかわいかったから、全然退屈しなかった」って言われて驚く凛さん。ちょwwwウラヤマスwwww
 
休日であっても、朝食の時間はいつもの電話のコールで呼び出される。
食事をとる時は、休日であっても正装。
それがここのルールだ。
俺と凛はいつもの制服に着替える。
 
「……よし」
 
ピッとネクタイを締めた途端、凛の声のトーンが低まった。
この服に着替えると、『メイドの凛』から、『執事の疾瀬』へと変貌を遂げる。
 一体、どこにその切り替えスイッチがあるのかが不思議でならない。
純愛エロゲの主人公も、エロシーンに突入した瞬間に、エロスイッチが入って、
ベッドヤクザに変貌したりするけどさぁ?
今度、隙あらば、背中やら人には言えない部分を触ってみるとしよう。
 
「さ、行こうか……でも、気をつけてくれよ。ボクはこの格好の時は、あくまで男で通して
いるんだからな」
 
「わかってる、わかってるって。わかってるから、お出かけのキスをひとつ」
 
「わかってないじゃないかっ! キミは昔の男友達に、キスをしてくれだなんて、せびっていたのか?」
 
「あー、そーそー。俺、スキンシップ過剰な男子だったの。ノンケでも平気で以下略」
 
もちろん、嘘八百だ。
それは凛も百も承知。
合わせて九百。
 
「もう……しょうがない。今日だけだからな……ん……ぅっ」
 
なんだかんだ言いながらも、ちょっとだけ背伸びをして俺にキスしてくれる彼女が
すごくいじらしいなぁ、とか思うのだ。
 
凛と肩を並べて、食堂へと向かう廊下を歩きながら、ちょっと思う。
そういや、パーティで天王寺のお嬢に言われたっけな。
 
『疾瀬さんは、自分が女らしくなっていることをご存知なのかしら。もう隠しきるにも
限界があると思いますわよ?』
 
自分が出会った時よりもずっと女らしくなっているなんて、凛自身、気付いていないだろう。
俺も誰だかに『一執事として、わりと様になりつつある』とか言われたけど、そんな自覚は全くない。
自分自身のことなんて気付くはずがない。
自分に限りなく近い存在になってしまった凛のことも然り。
近くで接していて、そして、彼女を変えてしまったのが、俺自身なのだから気付かないのも
当然なのかもしれない。執事だろうが、メイドだろうか、どんな姿をしていても、
俺にはかわいい彼女にしか映らないんだから……
いやはや、これは我ながら大したバカップルぶりだ。町でいちゃついてるバカップルなんて、
俺が呪術師だったら、呪殺の対象でしかなかったというのにな。
そんなアホなことを思いながら、隣の彼女に肩を触れ合わせつつ歩く。
 
「……何を考えているんだ? それにキミ、近すぎるぞ」
 
「いーや、別に何も。しいていえば、今日の朝飯の卵は、目玉焼きだと嬉しいなとか思ったくらい」
 
「奇遇だな。ボクも目玉焼きがいいと思っていた」
 
「黄身は半熟でな」
 
「もちろんだ」
 
気が合った。
 
  ■   ■   ■
 
朝食を終えた後、特にすることもないので――
(冗談めかして「エッチしようぜ!」と誘い、「真っ昼間からそんなことできるか! キミは猿か!」と
殴られたエピソードは割愛する)
――俺と凛は連れ立ってショッピングをすることにした。
ショッピングといっても、どこか遠くにお出かけ、というわけではない。
俺たちの住んでいる鳳翼寮は2階から上は居住区に、1階は本、日用品、食料品、衣服など、
生活に必要な物資の大半が揃うショッピングモールになっている。
片手では凛に殴られた脇腹を抑え、もう片手は買い物カゴを手にして、ドラッグストアを徘徊する。
 
「歯磨き粉と歯ブラシも必要か……ああ、キミの歯ブラシ、もうボロボロになってたな。まったく、
同じタイミングで使い始めて、なんであんなにボロボロなんだ?」
 
「なんでだろうな? 姿を見たら襲い掛かってくる系の妖精さんが意地悪してるのかもな」
 
「……そんなわけないだろう。キミは磨く時に力を入れ過ぎなんだ」
 
「えー、あんまり弱いと、磨いた気がしないじゃないか」
 
「力のない女性は虫歯だらけか? そんなことないだろう。正しい磨き方をしていれば、
そんなに力はいらないんだ」
 
「うーん……加減がわからないな。今度、凛が俺の歯を磨いてくれよぅ」
 
「バカなことを言ってるな。キミは子供か」
 
調子に乗っていたら、今度は鼻の頭にデコピンを食らわされた。
 
「へぇ、この歯ブラシが98円で買えるのか? 前の所なら安くても298円はしたぞ」
 
「激安価格は上級科の援助によるところが大きいな。利益は度外視して、ほぼ仕入れ値で
売っているんじゃないかな」
 
ショップの2割3割当たり前の驚きの安さに感心しながら、一通りの物資を買い揃えた
俺たちは、ドラッグストアを出た。
 
「さて、買い物も終わったし……本屋に寄っていいか? 確か、『ブシドーらびっと』の新刊が
昨日出て――あれ? 凛?」
 
真横にいたはずの凛はいつの間にかいなくなっていた。
振り返ると彼女はある店頭で釘付けになっていた。
ブティックだ。
いくらここが従者育成の学園であって、女子の制服がメイド服だからといっても、
休日にはメイド服以外の服も着るし、おしゃれもする。
おしゃれをするのは女性の本能なのだ。
そして、女性である凛も、その本能には抗えない。
マネキンが着飾っている艶やかな服に、まるでトランペットを欲しがる少年のように
物欲しそうな視線を投げかけていた。
そして、俺はそのマネキンを見つめている凛を眺めていた。
 
「…………」
 
しばらく経っても、凛はこの場から動きそうになかった。
足から根っこが生えてしまったらしい。
 
「凛?」
 
「…………」
 
「おーい、疾瀬くぅん?」
 
「…………」
 
友達の家に遊びに来た小学生のように呼びかけてみるが、返事はない。
……うーん。
 
「せっかくだから、中に入るか!」
 
「えっ? ……わっ、お、押すなっ! ボクは入るなんて一言もっ……」
 
俺は凛の背中を無理矢理押して、ブティックへと入ったのである。
その姿、往年の『倉庫番』のごとし。
 
「ま、まずいだろう。男2人でブティックなんて、不自然すぎる……」
 
俺の後ろを隠れて歩く凛は、文芸部とは名ばかりの部活に無理矢理勧誘された未来人の
ようにビクビクオドオドしていた。
 
「こういうのは気にした方が負けだと思っている。もっと胸を張れよ。
お、これ、凛に似合いそうじゃないか?」
 
かかっていた服を手にとり、凛の体にあてがい、サイズを測る。
 
「うん、このサイズがピッタリだな」
 
俺の目算はだいたいバッチリだ。
 
「かわいいな、肩口のフリルと胸のワンポイントが特に……って、そうじゃなくて!
知人にこんなところを見られたら――」
 
「あれー、立花くんと疾瀬くん。どうしたの、こんなところで」
 
凛の言葉が終わるか終わらないかのところで、俺たちは見覚えのない女子に声をかけられた。
未来の世界からきたネコ型ロボットアニメのヒロインみたいな髪型をした、わりとかわいい子だ。
少なくとも、俺の脳内データベースにこんな子はいない。
 
「ほら……こうなると思ったんだ」
 
「……誰だっけ? 知ってる人?」
 
向かい合ってる本人にそんなことも聞けるはずがないので、こっそり凛に耳打ち。
 
「クラスメイトだろ……ボクたちの斜め前の席の皆本さんだ」
 
俺と同じように、凛も耳打ちしてくる。
教室の背景を思い出す。
ちなみにこの人がミナモトさん。名前が静香かどうかは…謎ですw
 
ああ、うん、そういえば、こんな子もいた気がする。
ミナモトっていうのね。
なんていうか、苗字もスレスレな気がする。
 
「……それよりもこの場をどうフォローするつもりだ」
 
「大丈夫、任せておけ――奇遇だね、ミナモトさん。ちょうど女の子の意見が欲しかった
ところなんだ」
 
「あたしの意見? 何かな?」
 
「俺の妹の誕生日が近いから、プレゼントを贈ってあげようと思ってたんだけどさ。
どうも男だけだと決め辛くて」
 
「へ〜、立花くん、妹さんがいるんだ?」
 
「ああ、疾瀬とすごく背格好が近いんだ。それで疾瀬にサイズ合わせに手伝ってもらってたんだけど」
 
トン、と、俺は凛を肘で突く。
 
「そ、そうなんだ。仕方なく付き合ってやってるんだが……まったく、迷惑な話だ」
 
俺が言わんとしてることに気付いたらしく、凛は口裏を合わせる。
……いくらなんでも不自然か?
ちょっと訝しげな視線を送る皆本さんだったが。
 
「そうなんだー、そういうことなら、あたしも見てあげるよ! 今の流行りならキャミは譲れないよね!」
 
宣言するや否や、彼女は服を片っ端から探しに向かった。
それにしてもこの皆本さん、ノリノリである。
こうして、凛のファッションショーが始まった。
 
「こ、これは派手すぎじゃないか?」
 
ミニスカ、フレアスカート、レギンス、ハーフパンツ、パニエ、スパッツ。
 
「こっ、こんなに露出が多いのを着られるわけないだろう! ……その、妹さんが」
 
ブラウス、ジャケット、キャミソール、タンクトップ、ブラウス、カーディガン、カットソー、パーカー、ベスト。
さすがに試着室で直に着るわけではない。
執事服の上から合わせているだけだ。
しかし、こう、何着も試していると……。
 
「あ、これ、かわいいかも」
 
「あはは、なんだか、疾瀬くんの服を選んでるみたいだよね!」
 
彼女も同じように思ったらしかった。
 
「――ハッ!? まっ、まったく迷惑な話だっ。ボクは着せ替え人形じゃないんだぞ?」
 
そんな風に悪態をつきながらも、凛はどこか嬉しさを隠し切れていなかった。
――なんだかんだで、30分ほど。
長時間、間近で凛の姿を見ていても、皆本さんは凛の正体に気付いてないらしい。
『疾瀬 凛=男性』
1年がかりで植え付けたイメージってのは大したもんだ。
服をとっかえひっかえ試しているうち、
 
「あ……」
 
凛がとある1着を手にした時、彼女の目が輝いた気がした。
実に定番中の定番。
美少女ならば似合って当然ともいえる白いワンピース。
両サイドについたリボンのアクセントが実にかわいらしい。
 
「これなんか、すごくかわいいんじゃないかなー?」
 
「ああ、すごく似合ってる――」
 
思わず、素で返答してしまい。
 
「――だろうな……ウチの妹に」
 
慌てて、補足する。
 
「うーん、疾瀬くん、こういう服似合いそうだよね〜。本当に着てみたら?」
 
「なっ、皆本さんまでボクをからかうのか?」
 
「あはは、ごめんごめん。そうだよね、疾瀬くんは男の子だもんね」
 
「……そうだぞ。だから、あまりからかわないでくれ」
 
「るるみちゃんがいつもからかってるのもわかるなぁ。かわいいもんね、疾瀬くん」
 
「だからー……ふぅ、まるで一也が2人になったみたいだ……」
 
溜息を漏らしつつも、凛はちょっと嬉しそうだった。
 
「疾瀬くん、ちょっと変わったよね」
 
「ボクが、変わった?」
 
「るるみちゃん以外の人と喋ったところ見たことなかったもん。ちょっと話し掛け辛かったっていうか…
それはそれでクールで謎めいてて格好よかったんだけど」
 
彼女の今まで抱いていたイメージは、俺が『執事の疾瀬』に抱いていた、第一印象と
大差ないようだ。
 
「でも、立花くんとも付き合うようになって、話し掛けやすくなったっていうか…
すごく柔らかくなった気がするよ。前の疾瀬くんにだったら、こんな風に話し掛けられなかったもん」
 
「……そう、かもね。皆本さんとこんな風に話したのも初めてだよね」
 
「うん、疾瀬くんといっぱい話せて、ちょっと嬉しいよ……っと、いっけない! もうこんな時間! 
あたし、待ち合わせがあるから、そろそろ行かなきゃ! それじゃまた明日ね!」
 
腕時計を見て、皆本さんは慌てて走り去っていった。
どうやら俺たちは彼女の待ち合わせまでの時間潰しに使われたらしい。
 
「あんな子、クラスにいたんだな」
 
彼女の背中を見ながら、呟いてみる。
フラグを立て損ねていなければ、彼女も攻略対象の1人だったのかな、なんて思いつつ。
 
「あんな積極的な子だとは思わなかった。クラスじゃおとなしい方だからな……ふぅ……」
 
「でも、彼女、嬉しそうだったな」
 
実は彼女、凛のこと好きなんじゃないか、なんて思ってしまった。
凛は片手でワンピースを抱いたまま、何度目かわからない溜息をついた。
 
「疲れたか?」
 
「いや、そうじゃない。自分では気付かないものだな。そうか、ボクは他人の目から見て、
そんなに変わったか」
 
「俺もよくわからないけど……変わったらしいな」
 
それは俺が凛にとって、他人ではないからだろう。
いつも彼女の近くにいて、それが自然な変化だったから、凛の変化に気付けなかった。
 
「ところで、キミに妹がいたのか?」
 
「そんな話をしたことあったか?」
 
「いや、初耳だったが」
 
「もちろん、いるわけない」
 
妹がいたら、今頃、俺の攻略対象キャラに加わっているところだ。
 
「全部嘘だったのか……大したもんだな」
 
「凛の為なら、どんな嘘だってついてやろう。地獄の閻魔様に舌を抜かれるのだって怖くなどない」
 
「……何、バカなこと言ってるんだ、まったく」
 
呆れたような溜息をつき、凛はフイッと視線を反らす。
視線を反らした時、凛の頬が、ほんのりと赤く染まっているように見えた。
その隙に俺は凛の持っている白いワンピースを手に取り、値札をひっくり返した。
――3900円。
女性のファッションに疎い俺でも聞いたことのある、ちょっと名の知れてるブランド。
ならば、この値段は実にお手ごろなんじゃなかろうか。
女性の服の値段はよくわからないけど、場所によっては、この倍はするんじゃないだろうか。
 
「あっ……」
 
凛が反応するよりも早く、俺はワンピースをレジに持っていった。
 
「プレゼントですね?」
 
俺たちの賑やかなやり取りを、終始楽しそうに見つめていた店員さんはにこやかに問い掛ける。
 
「ええ、ラッピングもお願いします」
 
俺は大きく頷いた。
手際のいい店員さんの手によって、ワンピースは白い箱に詰められ、包装紙で包められ、
赤いリボンで括られ、立派なプレゼントになる。
 
「ほら、凛、大事に持っておいてくれ」
 
そして、俺は出来上がったばかりのプレゼントを凛に手渡した。
 
「えっ、これ……」
 
「大事な物なんだからな。なくしたり、破いたりするなよ?」
 
俺の意を解したのだろう。
 
「……うん。大事にする」
 
凛は両手でギュッと、そのプレゼントを抱き締め、微笑んだ。
一瞬、『執事』であることを忘れた、そんなかわいらしい笑みだった。
 
  ■   ■   ■
 
「早速かい」
 
部屋に戻ってから、夕飯時までずっと。
そして、夕飯を終えた後も再び。
凛は早速、そのワンピースを着ていた。
 
「そうだよ。ちゃんと着てあげないと、服に失礼でしょ?」
 
凛が軽やかにクルリと回ると、スカートがふわりと舞い上がる。
思わず、そのチラリと見える太ももに視線が行ってしまうのだが、それでも下着が見えないのは、
計算されているというか何というか……女は生まれながらの策士だ。
 
「すごく似合ってるな」
 
自分の彼女だからとか、そんな贔屓目をなしにしても、彼女のワンピース姿は本当にかわいい。
 
「ありがと。キミからの初めてのプレゼント……本当に大事にするからね」
 
白のワンピースをプレゼントされ、超ゴキゲンな疾瀬さん。…なんかエロいなwww
 
スカートの裾を摘まみ、優しく微笑んだ。
 
「今度、私からもお返ししないとね」
 
「いや、大丈夫。充分貰ったから」
 
「えっ?」
 
ワンピース1着――3900円。
俺だけに向けた、彼女の笑顔――プライスレス。
 
喜んでもらえたのならば、そして、心から笑ってもらえたのならば。
それに勝るお返しはないのだ。
 
Fin
 

 
◆あとがき
 あてゅ公式ページ、777777HITのご愛顧、ありがとうございます!
 
 シックスセブン記念、及び、リニューアル版発売に合わせ、
 パソコンパラダイス10月号に掲載された書き下ろし小説に、
 加筆修正をして、掲載させていただきました。
 (なお、キチンと転載許可は得ております)
 
 この話を執筆していた7月当時。
 思いの外、ノリノリで執筆できたのですが、
 ノリノリすぎて、つい書きすぎてしまいまして。
 誌面ではページの都合上、削らなくてはならない部分が多々あったのですが、
 ここではそれも全て掲載しております。
 パソパラ10月号をお持ちの方は、ウォーリーを探す気分で
 チェックしてみてはいかがでしょう。